
Caravaggio, Bacchus, 1593. Wikimedia Commons. · PD
バッカス
作品情報
ストーリー
ローマに出てきて間もない20歳そこそこのカラヴァッジョが、酒の神バッカスを描いた。神といっても、その姿は近所の若者そのものだ。頬を赤らめ、しどけなく寝椅子にもたれ、こちらへ葡萄酒の盃を差し出している。爪には汚れがたまり、盛られた果物は所々傷んで腐りかけている。理想化された神ではなく、目の前にいる生身の人間を、この時期のカラヴァッジョはそのまま描こうとした。近年の修復では、手前のガラスの水差しのなかに、小さく絵を描く画家自身の姿が映り込んでいるのが見つかっている。差し出された盃の表面では、いまも葡萄酒がかすかに波打っている。





