
Abraham Mignon · PD
洞窟の中の花
作品情報
ストーリー
アブラハム・ミニョンがこの花の静物を描いたころ、彼はまだ二十歳ほどの若い画家だった。フランクフルトに生まれ、花や果物の名手ヤコブ・マレルのもとで学んだ彼は、やがてユトレヒトへ移り、オランダ静物画の緻密な流儀を吸収していく。洞窟のような暗い岩陰に花々を配したこの構図は、17世紀のオランダで好まれた型の一つで、朽ちた石や陰の中で咲く花の対比が、生命のはかなさをそっと語らせる。虫や水滴まで克明に描き込む彼の筆は、のちにドイツでも高く評価された。派手な明るさではなく、影の中に置かれた色の冴えを見せる一枚である。