
Edvard Munch · PD
ニースの夜
作品情報
ストーリー
わたしたちはムンクを不安の側に置きがちだ。あの《叫び》の開いた口と、血のように赤い空。その《叫び》までは、まだ二年ある。1891年に彼が描いたのはこちらのほう、フランスのリヴィエラの静かな青い夜だった。28歳の彼はノルウェーの国費でニースに冬を過ごし、灰色の北から遠く離れていた。ここに彼が置いたのはおおかた闇と冷たい青で、眠りにつこうとする街だ。同じ年、オスロの国立美術館がこれを200クローネで買い取った。美術館がムンクの作品に金を払った最初の一度である。この先の十年を彼は、わたしたちが知っているつもりのあの不安の画家になることに費やす。そして後に彼のために幾部屋も割くことになるその美術館は、この穏やかな南の夜から始まった。




