
Pierre Bonnard · PD
逆光の裸婦
作品情報
ストーリー
ボナールがこの絵を描いたのは1908年ごろ、水道を備えた個人用の浴室がパリの中流家庭でありふれた設備になりつつあった時代である。描かれた女性はマルト、生涯をともにした伴侶であり、いつも彼のモデルを務めた人だ。小さな盥のなかに立ち、湯あみのあとにオーデコロンをまとっている。背後の窓からは暖かく、ほとんど影のない光が差し込み、彼女はくっきりした輪郭をもつ像というより、色に包まれた暗いシルエットとして見えてくる。壁の鏡は別の角度から彼女の姿をもう一度映し出す。ボナールが好んで用いた手法だ。床や家具のうえに散った明るい斑点は、光が触れるすべての面をこまかく砕いていく、彼ならではのやり方である。
