マリオラ・ドスペフスカの肖像

マリオラ・ドスペフスカの肖像


作品情報

アーティスト
Stanislav Dospevski
制作年
1869
技法
油彩
寸法
68 × 55 cm

ストーリー

この肖像が描かれた1869年、ブルガリアという国家はまだ存在しなかった。この地はなおオスマン帝国の一州であり、独自の美術学校も持たなかった。描いた画家は国外でヨーロッパの学院派の技法を学び、帰国してからは商人やその家族の肖像で生計を立てていた。落ち着いた地味な油彩は、彼自身の一族がサモコフで手がけた金地の教会イコンからは遠く隔たっている。ここで彼に向き合うのは、いっそう身近な相手だった。マリオラは彼の妻である。暗く静かな背景と、訓練された手による丁寧な肉づけを与えられたこの一枚は、一世代前のこの国にはほとんど存在しなかった、私的で世俗的な肖像だ。油彩・カンヴァス、高さは70センチにわずかに足りない。絵画を集めた画廊すらまだない土地で、画家を働かせ続けた日々の注文仕事の一つである。

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