
Édouard Manet, Street Singer, 1862. Wikimedia Commons. · PD
街の歌手
作品情報
ストーリー
1862年のパリで、マネはある店から出てきた若い女に目をとめ、モデルになってほしいと頼んだ。断られると、それならヴィクトリーヌでいい、と言ったと伝わる。ヴィクトリーヌ・ムーランは彼のお気に入りのモデルで、翌年には《オランピア》や《草上の昼食》で知られることになる。だからここに立つのは、実際には街の歌手を演じるヴィクトリーヌで、ギターを抱え、紙に包んだサクランボを歩きながら口に運んでいる。異例だったのはその大きさである。ありふれた街角の情景を、マネはほぼ等身大で、本来なら格式ある肖像画に使う画面いっぱいに描いた。平坦で素描のような筆づかいと、たそがれの冷たい光は、当時の観客を戸惑わせた。




