
Édouard Manet, The Plum, 1878. Wikimedia Commons. · PD
すもも
作品情報
ストーリー
1870年代のパリでは、カフェが新しい社交と孤独の舞台になっていた。エドゥアール・マネがとらえたのも、そんな一場面である。若い女が一人、カフェの卓につき、頬づえをついてぼんやりと前を見ている。目の前の小さなグラスには、ブランデーに漬けたすももが一つ。指には火のついていない煙草がはさまれている。楽しげでも悲しげでもなく、手持ちぶさたな時間そのものが漂う。実際にはマネは店ではなくアトリエで、モデルにこの姿をとらせて描いたとみられる。当時の都会に生きる人の、名もない一瞬をすくい取ろうとしたのである。桃色のドレスと、卓の大理石の冷たい白とが、そっと隣り合っている。




