
フランソワ・クルーエ
1510–1572 · フランス王国 · ルネサンス, マニエリスム
ストーリー
フランソワ・クルーエは、父ジャンから名前と職務の両方を受け継ぎ、フランス王家の画家となって、フランソワ1世をはじめとする歴代の王に16世紀半ばまで仕えた。宮廷は父と同じように彼をただ「ジャネ」と呼び、自分たちの肖像を残す仕事を任せた。
彼の名を今に伝えているのは、何百点にものぼるチョークの肖像素描である。赤と黒のチョークで手早く正確に描かれたフランス貴族の顔は、集まってルネサンス期の宮廷のアルバムのようなものを成している。仕上げられた油彩の肖像はもっと数が少なく、風変わりだ。
そのうちの一点は、赤いカーテンに縁取られた浴室で、静かなたたずまいの裸婦を描いたもので、王の愛妾を表したものと考えられ、背後には乳母と、果物をたっぷり盛った情景が広がる。クルーエは多忙な工房を切り盛りし、凄惨なフランスの宗教戦争のさなかも仕事を続け、1572年、市内で新教徒の大虐殺が起きたその年にパリで没した。
