
Johann Köler · PD
小川のほとりの子連れのイタリア女性
作品情報
ストーリー
ヨハン・ケレルがこの絵を描いたのは1862年、彼がローマにたどり着いた年だった。エストニアがまだ自前の画家を持たなかった時代の、農民の息子である。彼はペテルブルクの美術アカデミーを苦学で切り抜け、南へ送り出す奨学金を勝ち取った。だからここにあるのは、北から来た若者が見たイタリアである。母と子どもたちが小川のほとりで憩い、暖かく均一な光に包まれる、ローマの外国人画家たちが暮らしのために量産した、そんな陽ざしの風俗画の一つだ。ケレルはやがてエストニア民族覚醒の有力な声となり、この国で最初の職業画家となる。彼が女に与えた顔は理想化され、穏やかで、故郷の誰よりも、まわりにいたイタリアのモデルにずっと近い。