
ソフィアのバンスキ広場
作品情報
ストーリー
ニコラ・ペトロフは1912年、ソフィアのなかでも温泉の湧く一帯にあるこの広場を描いた。ちょうどそこに、煉瓦と淡いタイルの大きな中央温泉浴場が建ちつつあり、翌年に開かれることになる。ソフィアがブルガリアの首都となってまだ30年ほど、オスマン風の街並みをヨーロッパ風の姿へと着替えつつあった時期で、ペトロフはその変化のただ中で戸外に立って制作した。用いたのはグアッシュ、乾きの速い不透明な絵具で、灰色がかった都市の光の一時を、その場で写し取ることができた。同じ年の10月、ブルガリアはオスマン帝国と戦端を開き、第一次バルカン戦争が始まる。だから、ありふれた日にありふれた人々が行き交うこの静かな光景は、その出来事のすぐ手前に位置している。彼が描いた浴場の建物は今も残り、ソフィアの街の歴史をたどる博物館になっている。
