
嘆くイシスを描いたカルトナージュ片
作品情報
ストーリー
この彩色された亜麻布の断片は、高さ9センチにも満たないものです。もとはカルトナージュ、つまり膠で貼り重ねて漆喰を塗った亜麻布でできた、エジプトのミイラを覆う殻の一部でした。ルーヴルはこれを末期王朝時代かプトレマイオス朝時代、紀元前7世紀から前1世紀のどこかに置くことしかできず、そのどちらにも疑問符がついています。
イシスは赤い衣をまとってひざまずき、両腕を上げています。嘆きのしぐさです。頭の上には玉座をかたどった象形文字がのっていて、これが彼女の名の書き方でした。脇の縦一列の文字も、もう一度その名を記しています。頭上には天を表す帯が走っています。神話のなかでイシスは殺された夫オシリスを悼んで泣きました。死者は誰もがオシリスになることを願ったので、イシスと妹ネフティスは遺体の頭と足もとにひざまずく姿で描かれ、死者のためにも泣いたのです。
この断片は1827年にはすでにルーヴルにあり、象形文字を解読した学者で、同館最初のエジプト古美術の学芸員となったシャンポリオンが目録に記載しています。




