
胸壁を戴く天守塔のある市場
作品情報
ストーリー
にぎわう群衆のなかで、動かないものがひとつだけあります。てっぺんにぎざぎざの胸壁をめぐらせた、中世の城の四角い主塔です。塔は窓が規則正しく並ぶ新しい建物にはさまれ、その足もとで市が開かれています。馬に乗った人、荷車、天幕、野菜のかごを抱えた物売りの女たち。奥へ行くほど露店は続き、やがて開けた野原と丘の連なりへとつながっていきます。フランツ・デ・パウラ・フェルクはこの場面を銅板に油彩で描きました。硬くなめらかな銅は絵具を吸いこまないので、ごく小さな筆跡までくっきりと残ります。大きさはおよそ58×80センチで、銅板画としては大きなものです。左下では、両腕を上げて駆ける少年のそばを小さな犬が走っています。制作年について、美術館は1724年以前とだけ記しています。