
Fyodor Vasilyev · PD
クリミアの山中で
作品情報
ストーリー
この絵を描いたとき、ワシーリエフは23歳で、余命はあと数か月だった。喉の病が彼をサンクトペテルブルクから南のクリミアへと追いやった。そこの空気は肺によいとされていたからだ。これが彼の最後の大作となった。霧に沈んだ山々が、明るみはじめた空へと段をなして立ちのぼる。霧の描きぶりがあまりに真に迫っていて、画家クラムスコイはこの画布の前で、一瞬、何かが絵の手前に掛かっているのかと思ったという。1873年、この作品は美術家奨励協会の競作で一等を得て、大収集家の弟セルゲイ・トレチャコフが買い取った。同じ年の秋、ワシーリエフはヤルタで世を去った。ここで光が向かう、まさにその山々のふもとだった。
