
カーの内棺
作品情報
ストーリー
カーはおそらくアメンホテプ3世の治世20年代に亡くなりました。長く豊かな治世で、テーベの宮廷工房がとりわけ洗練された作品を生み出した時代です。いちばん内側のこの棺には、その時代がそのまま表れています。中棺とちがって黒い樹脂はどこにも使われていません。表面全体を金箔が覆い、その下のごく薄い漆喰の層には、人物像や銘文があらかじめ浅浮き彫りで形づくられています。目と眉は象眼で、眉と目のまわりの線には青いガラスがはめられ、金属の枠に据えられています。
エジプト学者アリエル・コズロフは、カーの棺をこの治世の工芸の見事な例と呼んでいます。様式からみて、王の工房で作られたと考えられています。この棺は中棺の中で、ミイラづくりに使う塩ナトロンの層の上に置かれていました。棺を下ろすのに使った赤く染めた亜麻の綱が、首と足首のところにまだ結ばれたままでした。




