
John Singer Sargent, Lady with the Rose, 1882. Wikimedia Commons. · PD
薔薇を持つ婦人
作品情報
ストーリー
1882年、サージェントは二十六歳で、なんとか注目されたいと願っていた。この肖像がそれをかなえた。その春パリのサロンに出品すると、批評家たちは夢中になった。描かれているのは、画家の交友圏にいたスイス人商人の娘ルイーズ・ブルクハルトである。彼女は平坦な暗い背景の前で一輪の薔薇を手にし、淡い色のドレスのほかにはほとんど色がない。この切り詰めた色づかいはベラスケスに由来し、三年前サージェントはマドリードのプラド美術館で彼を模写していた。友人の作家ヘンリー・ジェイムズは、経歴の入り口に立ちながらもはや学ぶべきものを持たない才能の、どこか不気味な光景について語った。ルイーズはその十年後、1892年に世を去った。




