
Joachim Patinir · PD
ステュクスを渡るカロンのいる風景
作品情報
ストーリー
16世紀初めのアントウェルペンで、パティニールは風景そのものを絵の主役に押し上げた最初の画家の一人だった。この作品でも、高い視点から見下ろす広大な景色が画面の大半を占める。中央を流れるのは冥界の川ステュクスで、渡し守カロンの小舟に一つの魂が乗っている。左岸は天使や噴水のある楽園、右岸は炎と怪物のうごめく地獄だ。魂はどちらへ向かうか、まさにその分かれ目にいる。宗教的な主題を借りながら、画家の関心はむしろ果てしなく続く岩山や水辺の広がりに注がれている。地獄の門で待つ三つ首の犬ケルベロスが、右の暗がりにちらりと見える。

