
髭のない男の肖像
作品情報
ストーリー
この男について分かっているのは年齢だけで、それも本人が書き残したものだ。画面上部の銘には当時のドイツ語で、1521年を数えたとき私は33歳であった、とある。紋章も手紙も、職業を示す道具もなく、名前は失われた。美術館は、彼をチロルの町シュヴァーツの裕福な商人か鉱山経営者の一人とみている。ハンス・マーラーが工房を構えていた町である。板はアルプスの木、センブラマツ。1965年、西ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行は、この名もない顔を500マルク紙幣に刷り込み、彼は1995年までそこにとどまった。

