
El Greco · PD
ロドリゴ・バスケス・デ・アルセの肖像
作品情報
ストーリー
美術館の台帳に画家の名はない。作者不詳、エル・グレコにもとづく模作、と記されている。原作は失われており、1590年ごろのこの一枚が、カスティーリャ評議会の議長にまでのぼった法律家ロドリゴ・バスケス・デ・アルセの顔を見られる唯一の場所になっている。模写した手は線が固く、細部を几帳面に描き切り、師ほど踏み込まない。研究者がこの絵を工房の助手たちを知る手がかりとして重んじるのは、まさにそのためである。人物は褐色の地に黒の装いで、胸にアルカンタラ騎士団の金の記章をつけている。名前が戻るには時間がかかった。古い王室目録には画中の銘文にふれないまま「襟をつけた紳士」とだけあり、1834年、フェルナンド七世の遺産目録でようやくロドリゴ・バスケスと記された。