
Mu Qi · PD
六柿図
作品情報
ストーリー
これを描いたのは、13世紀の中国に生きた禅僧の牧谿である。墨を含ませ、ためらいなく、素早く紙に落としていく。六つの柿が、なにもない地の上に並ぶ。濃く沈むものもあれば、筆がかすめただけのものもある。本国の中国では、その奔放で即興的な描きぶりは必ずしも尊ばれず、こうした小さな水墨の一枚は容易に失われてもおかしくなかった。ところがこれは日本に渡り、数寄者に珍重されて茶会に掛けられ、やがて京都・大徳寺の塔頭に納められて、ほとんど人目に触れることがなくなった。今日いう禅の心の多くは、描かれてからずっとのちに、この柿へ読み込まれていったものだ。長らく寺に秘蔵されてきたこの一幅は、2023年、はじめて日本を離れ、サンフランシスコで数週間だけ公開された。