
Eugène Louis Boudin · PD
トゥルーヴィルの海岸
作品情報
ストーリー
1863年7月、パリからの鉄道がノルマンディーの海岸、トゥルーヴィルまで延び、漁村だったこの町はパリの人々の夏の行き先になりました。トゥック川を挟んだ対岸では、ナポレオン三世の異父弟モルニー公が、新しい保養地ドーヴィルをほとんど一から築いていました。ブーダンはこうした避暑客をシーズンごとに描き続け、1868年には友人への手紙でその理由を語っています。農民には農民の画家がいる、夕暮れの突堤を散歩するブルジョワたちにも画布に描かれる権利がある、というのです。この場面はその翌年の夏のもので、幅わずか37センチの小さな板に描かれています。浜辺でブーダンは、画布のように風にあおられて揺れることのない板を好んで使いました。緑や黄色、赤のドレスの婦人たちが二本の傘のもとに集まり、右手には更衣用の小屋、波間には泳ぐ人の姿もいくつか見えます。一年もたたないうちにフランスはプロイセンに宣戦し、第二帝政は数週間で崩れました。右下の署名の横には、年号が下二桁だけ「69」と書き込まれています。




