
Rik Wouters · CC0
アイロンをかける女
作品情報
ストーリー
1912年、リック・ワウテルスはパリからベルギーに戻ったばかりだった。そこで目にしたもの、マティスやセザンヌの純粋な色彩に、すっかり心を奪われていた。それはこの絵にも表れている。明るいピンクと青を、ほとんど混ぜずに、素早くまっすぐ置いていく。アイロン台にかがみこむ女性は、妻のエレーヌ。みなが「ネル」と呼んだ人だ。彼女は画家がもっとも好んだモデルで、短い画業のなかに幾度も現れる。場面にものものしさはない。ありふれた朝、アイロンの下には青い衣。それでも彼女は手を止めて顔を上げ、くつろいだ満ち足りた表情でこちらを見る。ワウテルスははじめ彫刻家として学んだ。腕や肩が光を受けるときの、しっかりと丸みを帯びた量感に、それがうかがえる。