
Wassily Kandinsky · PD
カンディンスキーのアパートの窓から見たモスクワの眺め(ズボフスキー広場1番地)
作品情報
ストーリー
1916年ごろ、ミュンヘンでおよそ十年をかけ、具体的な主題のない絵の見方をヨーロッパに教えてきた男は、ふたたびモスクワにいて、自分の住む通りの眺めを描いていた。1914年に戦争が始まると、ロシア国籍のカンディンスキーは数日のうちにドイツを去らねばならず、かつて「絵画の音叉」と呼んだこの街へ帰ってきた。この小さな眺めはカンヴァスではなく厚紙に描かれ、ズーボフ広場の自宅からモスクワの屋根とドームを、重い空の下に見下ろしている。ここには抽象がほとんどない。彼が求めたのは現実の街であり、子どものころ覚えていた光だった。モスクワの夕日こそ画家が捉えようと望みうるいちばん難しいものだ、と彼は語っている。その数年、彼はモスクワの情景をいくつも描き、なかにはすでに純粋な色へ滑り込むものもあった。この一枚は、窓の下にある現実の広場に足をつけたままでいる。




