
ヴィッラ・ボルゲーゼの眺望
作品情報
ストーリー
画面下の帯には、ラテン語で「ボルゲーゼ邸の眺め」と記されています。この邸をローマの市門のすぐ外に建てたのは、教皇パウルス5世の甥、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼでした。彼が1633年に世を去ってから三年後、ストラスブール生まれの細密画家ヨハン・ヴィルヘルム・バウアーが、幅わずか45センチの羊皮紙にテンペラでその姿を描きます。真っ白な正面は彫像と浮き彫りで埋めつくされ、17世紀の建物の姿を伝える貴重な記録とされています。前庭には馬車や騎馬の人々、犬、黒いマントの紳士たちが行き交い、ここがローマ社交界の集う場所だったことがわかります。注文主は、枢機卿の跡を継いだマルカントニオ2世ボルゲーゼ公だったのかもしれません。バウアーは左下の噴水の台座に署名と年記を残しましたが、1693年の目録では別の画家の作とされ、その名が戻ったのは1790年のことでした。