
ストーリー
ワシントンD.C.にあるヒルウッドのロシア美術の部屋には、人気のサロン画家コンスタンチン・マコフスキーが1883年に描いた《大貴族の婚礼の宴》が掛かっています。17世紀モスクワの婚礼で、客たちが新郎新婦に杯を掲げる場面です。この絵は1885年のアントワープ万国博覧会で金メダルを受け、アメリカの収集家の手を渡り、一時は「リプリーの信じようと信じまいと」の生みの親ロバート・リプリーが所有していました。その後、マージョリー・メリウェザー・ポストが購入しました。
シリアル食品で知られるポスト社の財産を継いだポストは、1955年にヒルウッドを買い、ジョージアン様式の邸宅を、住まいでありながらコレクションを見せる場にもなるよう改装しました。帝政ロシア美術への関心は、1930年代後半、夫ジョゼフ・デイヴィスが駐ソ連アメリカ大使を務めていた頃のモスクワで育まれ、その後も数十年にわたって収集を続けました。邸内にはファベルジェのインペリアル・イースター・エッグが2点あり、そのひとつが《十二のモノグラムのエッグ》です。ほかにイコン、磁器、聖杯、エカテリーナ2世の全身肖像画もあります。
フランス趣味もここにあり、18世紀の家具やセーヴル磁器、そしてウィリアム・アドルフ・ブグローの《夜》のような絵画がそろっています。《夜》は宙に浮かぶ寓意の女性像で、1883年のパリのサロンに出品されました。ポストは邸宅を美術館とするよう遺し、1977年に開館しました。屋外の庭園のなかには、1957年に造園家ショウゴ・ミヤイダが設計した日本庭園があります。

