
ストーリー
バレンシアのある神学校の博物館には、トマス・モアがロンドン塔で書いた手稿が収められています。1535年に処刑されるまでの数か月のあいだに書かれたもので、『キリストの悲しみについて(デ・トリスティティア・クリスティ)』の、本人による推敲の跡だらけの草稿です。文章は未完のまま途切れています。持ち主は42年間バレンシア大司教を務め、名義上のアンティオキア総大司教でもあったフアン・デ・リベラで、1583年に自ら創設した学院にこれを納めました。
その学院、コルプス・クリスティ王立神学校は、彼にちなんで今も街で単に「パトリアルカ(総大司教)」と呼ばれています。リベラは対抗宗教改革を代表する聖職者で、ルネサンス様式の教会と回廊を中心に彼が建てた建物群には、今も彼の学院が置かれています。博物館はその一部を占め、16〜17世紀の絵画とともにフランドルの板絵や写本を展示しています。
最も知られた絵は、クレタ島出身でトレドに住んだ画家エル・グレコの作品です。《羊飼いの礼拝》、《死について瞑想する聖フランチェスコと修道士レオ》、そしてベネディクト会系の隠修士の修道会を描いた《カマルドリ会の寓意》があります。バレンシアのルネサンスの巨匠フアン・デ・フアネスの作品も充実しています。隣の教会では、バレンシアのバロック画家フランシスコ・リバルタの《最後の晩餐》が、描かれた目的どおり今も主祭壇の上に掲げられています。
