
ストーリー
カルミニャーノはフィレンツェの西、ブドウ畑の広がる丘の上の小さな町で、美術好きの人々はたった一枚の絵を見るためにこの町の教区教会を訪れます。教会はあくまで祈りの場ですが、ここにはフィレンツェの画家ポントルモの《聖母のエリサベト訪問》があります。1528年から1530年頃、地元の一族ピナドーリ家の祭壇のために描かれたものです。
描かれているのは、ともに身ごもった聖母マリアと年上の親類エリサベトの出会いです。二人は身を寄せて固く抱き合い、その後ろに立つ二人の付き添いの女性はまっすぐこちらを見つめています。鮮やかな色彩の人物たちの背後には、狭く、ほとんど人のいない通りがのびています。盛期ルネサンスの後に現れた落ち着かない様式、フィレンツェのマニエリスムの中でも特に高く評価される祭壇画のひとつです。
教会は最初期のフランシスコ会の修道院のひとつがあった場所に建ち、その創設は伝承では1211年とされます。18世紀後半からはカルミニャーノの教区教会となっています。1995年にはアメリカの映像作家ビル・ヴィオラがこの絵をもとにスローモーションの作品《挨拶》を制作しました。2018年から2019年にかけて、この絵はニューヨークのモルガン・ライブラリーとロサンゼルスのゲッティ美術館の展覧会のために町を離れ、教会と旧修道院の修復への支援を集める助けとなりました。
