
Jean-Auguste-Dominique Ingres · PD
ロートシルト男爵夫人
作品情報
ストーリー
アングルがこの肖像に着手したのは1841年、仕上がったのは1848年である。その年、パリでは再びバリケードが築かれ、七月王政が倒れた。ロートシルト銀行はその王政を支えた出資者の一つだった。だが、その動揺は画面には少しも入り込んでいない。1805年生まれのベティ・ド・ロートシルトは、叔父にあたる銀行家ジェームズ・マイヤー・ド・ロートシルトと結婚し、ヨーロッパでもっとも裕福な女性の一人であり、当時のパリを代表する芸術の庇護者だった。アングルは彼女をばら色のサテンのドレス姿で座らせ、肘をつき、こちらを向いて、頭を手にあずけた姿に描く。ラファエロに見た気品と、布地や宝飾を写すフランドル風とも言える緻密さとを、結び合わせようとした。この肖像は美術館に入ることなく一族の手に残り、占領下でナチスに没収され、1946年に持ち主へ返された。




