
カイン
作品情報
ストーリー
この絵が描かれたのは、ヨーロッパが自らの遠い過去を発見しつつあった時代だ。完成の前年にあたる1879年には、スペイン北部アルタミラの洞窟の天井で、描かれたバイソンが見つかっている。コルモンは主題を聖書から、ヴィクトル・ユゴーを経由して取った。ユゴーの詩「良心」では、弟アベルを殺したカインが、獣の皮をまとった子どもたちを連れて逃げていく。その冒頭の数行が、この絵の副題として引かれた。縦四メートル、横七メートルの画面で、それは荒れ野を渡る一族の姿になる。先頭を行く白髪の老人がカインだ。その後ろでは息子たちが木の担架を担ぎ、怯えた女と眠る子どもたちが、血のにじむ肉の塊とともに乗っている。狩人たちと犬がそれに続く。コルモンはアトリエで、人物の一人ひとりに生身のモデルを立たせた。