キリストの磔刑
作品情報
ストーリー
この板絵は、400年近くのあいだ誤った名で掛けられていた。隅のモノグラムはMとRの文字と読まれ、それに合う画家がいなかったため、作品は単に16世紀のドイツ派として整理されていた。1936年、より丁寧な調査で、その署名が書き換えられていたことが分かった。塗料の下にあった本来の文字はHとK、ハンス・フォン・クルムバハの頭文字で、彼は1512年ごろにこの板絵に署名していた。キリストは十字架の高みに斜めに掛かり、淡い空を背に、顔を下に向けて、足もとにひざまずくマリア、福音書記者ヨハネ、マグダラのマリアを見おろす。右手にはずっと小さく、注文主が甲冑をまとって妻と子とともにひざまずき、手を合わせている。その奥に風景が開け、城と青い山々が霞のなかへ溶けていく。


