
Franz Marc · PD
花の庭の鹿
作品情報
ストーリー
フランツ・マルクが1913年に描いたこの庭では、ノロジカが花や葉と同じ結晶のような切子面に分解され、ほとんど背景に溶け込んでいる。華奢な胴と曲がった首は、花や葉の丸い形と呼応している。ところが画面の上のほうを見ると、濃い青の頭が後ろへ大きくのけぞっている。危険を感じた動物が背後を確かめるときの姿勢だ。所蔵するブレーメン美術館は、この動物を「追い立てられた」ものとして説明している。横からは鋭く尖った赤い楔が胴に突き刺さり、周りの赤橙色の部分は血を流す傷を思わせる。美術館はこのノロジカを、犠牲として捧げられる「神の子羊」、アニュス・デイの図像の伝統に位置づけている。署名は右下にMの一文字だけ。ブレーメン市の資金で購入されたのは1950年、美術館の建物が1942年に焼夷弾を受けた被害からまだ立ち直りきれていない頃だった。




