
John Singer Sargent · PD
エレノア・オドネル・アイスリン(アドリアン・アイスリン夫人)
作品情報
ストーリー
金色に塗られたルイ16世様式の小卓の角に、エレノア・アイスリンの右手が置かれている。家族に伝わる話では、この手には由来がある。制作の日、夫人は舞踏会用のドレスを腕いっぱいに抱えた女中を連れて客間に入り、どれを着ればよいかとジョン・シンガー・サージェントに尋ねた。サージェントはどのドレスも選ばず、夫人をそのとき立っていた姿のまま描いた。テーブルから手を離すことさえ許さなかったという。左手には閉じた扇がある。肖像を依頼したのは、ニューヨークの銀行家アドリアン・アイスリンの娘ジョージーンとエミリーで、1888年の春、サージェントが初めてアメリカで本格的に仕事をした滞在の終わり頃のことだった。夫人の厳しい表情をこの出来事と結びつける美術史家もいる。晩年、夫人を覚えているかと尋ねられたサージェントは、「もちろん。あの威圧的な小指は忘れられない」と答えている。




