
François Boucher · PD
漁り
作品情報
ストーリー
1767年ごろ、フランソワ・ブーシェはフランスの画家が就ける最高の地位にあった。1765年からは国王付き首席画家として王立絵画彫刻アカデミーを率い、ルイ15世の宮廷の趣味を左右していた。ところが、まさにその趣味が彼に背を向けはじめる。批評家ディドロはサロン評のなかで、あまりに小ぎれいな羊飼いや、どこにも存在しない田園を繰り返し皮肉った。この絵が見せているのは、まさにそうした世界である。所蔵先はヴェルサイユの庭園の奥にある王家の隠れ家、グラン・トリアノンだ。小さな川のほとりで男女と少女、幼い子どもが釣りをしており、まとうのは宮廷を思わせる絹の装いである。ブーシェは64歳近く、視力も衰えていたが、外で何も急いでなどいないかのように、なお安逸と静けさを描き続けた。画面はおよそ150×188センチメートルで、トリアノンのコレクションを一度も離れたことがない。




