
Titian · PD
フローラ
作品情報
ストーリー
16世紀初めのヴェネツィアで、まだ若かったティツィアーノは、理想の女性像を一枚の絵にまとめあげた。白い薄衣が片方の肩からすべり落ち、たっぷりとした金褐色の髪が肩にかかる。手には春の花を握り、ローマの花と豊穣の女神フローラになぞらえられている。当時のヴェネツィアでは、こうした半身の美人画が新婚の家に飾られ、愛や実りへの願いを託されることがあった。モデルが誰であったかは、今も分かっていない。ティツィアーノは肌の温もりや布地の質感を、手で触れられそうなほど柔らかく塗り重ねている。差し出された花は、見る者へそっと向けられているようにも見える。




