
James Ensor · CC0
上を向いた鼻の少女
作品情報
ストーリー
1879年、ジェームズ・アンソールは19歳で、ブリュッセルの王立美術アカデミーの学生だった。仮面も骸骨もまだどこにもなく、暗い色調で身近な人物を描くことに専念していた時期にあたる。板に貼られたこの小さなカンヴァスの少女も、その一枚である。
近年、アントウェルペンの王立美術館の調査が、この絵に事実を一つ加えた。紫外線を当てると、画面の一部だけが橙色がかった蛍光を返す。そこに含まれる赤のレーキ顔料を、アンソールは1879年の時点ではまだ使っていない。つまり彼は何年も後になって、この少女に筆を入れ直したことになる。同館のアンソール研究者ヘルヴィフ・トッツは、画家が絵を売りに出す前や展覧会に出す前に、古い作品へ手を加える習慣を持っていたとみている。紫外線の写真の上では、19歳のときの絵具と後年の絵具が、はっきり色を分けたまま隣り合っている。




