
Jean-Auguste-Dominique Ingres · PD
モワテシエ夫人
作品情報
ストーリー
アングルはこの一枚に、十年以上を費やした。銀行家の妻モワテシエ夫人を描き始めたのは1840年代の半ばで、完成したのは1856年。途中で何度も投げ出しかけたという。花柄のドレスに埋もれるように座る夫人の背後には鏡があり、そこに横顔が女神のように映る。指を頬にあてたこのポーズは、古代ローマの壁画からとられた。仕上げに長い年月をかけたぶん、絹の光沢も腕の柔らかさも、現実を超えて磨き上げられている。鏡に映る横顔だけが、正面の顔とわずかに違う角度をとらえている。




