
Pierre-Auguste Renoir, Mother Anthony's Tavern, 1866. Wikimedia Commons. · PD
アントニーおばさんの酒場
作品情報
ストーリー
1866年にこの絵を描いたとき、ルノワールは25歳だった。まだ誰も印象派という言葉を口にしていない頃である。描かれた場所は実在した。パリの南、フォンテーヌブローの森のはずれにあるマルロットの村で、アントニーおばさんが営む宿屋兼居酒屋だ。若い画家たちが安く泊まり、芸術を論じ合った場所である。ルノワールは友人たちをテーブルの周りに集めた。そのなかには画家アルフレッド・シスレーもいる。床には、片脚を失って木の脚をつけたトトという名の白いプードルを配した。テーブルの上の新聞と、背後の壁にチョークで走り描きされたスケッチが、その一瞬をとどめている。これは彼の最初期の大きな野心作のひとつで、アトリエを出て日常の情景へ向かう道を、まだ手探りしていた頃の作品だ。




