
Titian · PD
悔悛するマグダラのマリア
作品情報
ストーリー
ティツィアーノがこの絵を描いた1560年代、カトリック教会はプロテスタントの批判に対して自らを立て直そうとしていた。悔い改めた罪人こそ信仰の証しだと説かれ、涙にぬれた聖女の姿が各地の宮廷や祭壇で求められた。ティツィアーノはこの主題を好み、生涯に何度も描き直している。スペイン王フェリペ2世をはじめとする有力な注文主のために、少しずつ姿を変えながら繰り返された画題のひとつだ。エルミタージュのこのマグダラのマリアは、天を仰いで祈る胸元に、乱れた髪と一冊の書物、そして頭蓋骨が寄り添う。晩年のティツィアーノらしく、絵具は指でこすりつけたように大づかみで、近づくと形がほどけ、離れると光を帯びて立ち上がる。画家はこのとき70代半ば、注文をさばききれないほどの名声のただ中にいた。




