
Paul Cézanne · PD
石膏のキューピッド
作品情報
ストーリー
何年ものあいだ、セザンヌのアトリエには小さな石膏のキューピッドが置かれていた。バロックの小像を型取りしたもので、伝統的には彫刻家ピエール・ピュジェの作とされる。1890年代、彼はそれを繰り返し素描し、描いた。もっともよく知られた版、ロンドンのコートールド美術館にある一枚では、その小さな像はりんごや玉ねぎに取り囲まれ、床が不穏なほど上へせり上がっている。より小ぶりなこの画面は、その逆をゆく。キューピッドをほとんど単独で置き、そのぎこちなく不安定な体のねじれを感じさせる。描いたときセザンヌは55歳ほど、多くを故郷エクスでひとり過ごし、世間にはまだほとんど知られていなかった。その状況はまもなく変わる。1895年、若い画商アンブロワーズ・ヴォラールがパリで彼の初の個展を開いたのだ。この絵はのちにヴォラールの手を経てバーンズ財団に入り、1964年にハーヴァードへ渡った。




