
Paul Cézanne, The Basket of Apples, 1893. Wikimedia Commons. · PD
リンゴの籠
作品情報
ストーリー
一見、ありふれた静物画に見えます。傾いだ籠からこぼれ落ちそうなりんご、瓶、皿に積まれたビスケット、無造作にかかった白い布。けれども、じっと眺めると何かがおかしいことに気づきます。テーブルの縁は左右で高さが食い違い、瓶はわずかに傾き、皿の楕円もゆがんでいます。セザンヌはわざと、一つの決まった視点を捨てました。少し右から、少し左から、少し上からと、複数の角度で見たものを一枚の中に組み合わせているのです。目に映るとおりではなく、対象がそこに在る確かさそのものを描こうとした試みでした。この探究が、のちのキュビスムをはじめとする20世紀の絵画に大きく道を開きます。積み上げられたりんごの一つ一つが、色の重みでずっしりとテーブルに根を張っています。




