
男性の肖像
作品情報
ストーリー
この男性が誰なのかはわかっていない。黒い衣服と帽子の形は聖職者を思わせ、ボストン美術館は制作を1576年頃としている。つまりヤコポ・バッサーノの最後期の肖像画のひとつである。もともと肖像画は彼の仕事のなかでわずかな位置しか占めず、ここでも衣装には、青みを帯びた黒の上に縦に並ぶボタンのほか、ほとんど手間をかけていない。光が向かうのは頭部だ。柔らかなあごひげ、物思いに沈んだ目、そして右目の上に浮き出た血管が、顔のほかの部分と同じ率直さで描かれている。アメリカでこの絵が最初に掛けられたのは、名高い家だった。遅くとも1917年には、マサチューセッツ州ケンブリッジのロングフェロー・ハウスにあった。詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェローが45年を過ごした家である。1921年10月、詩人の子どもたち三人、画家のアーネスト・ロングフェローと姉妹のアリスとアニーが、これを美術館に寄贈した。アーネストはその年の11月に亡くなった。




