
Titian · PD
赤い帽子の男の肖像
作品情報
ストーリー
16世紀初め、ヴェネツィア絵画はジョルジョーネを中心に回っていた。物思う人物とやわらかく拡散する光の名手だったが、1510年、疫病のさなかに若くして世を去った。ティツィアーノ初期のこの肖像画は、なおもその気配をたたえている。内へと向けられたまなざしの青年が、輪郭をほとんど溶かすような柔らかな光に包まれている。ティツィアーノは質感の描写に控えめな技量を示す。金色の繻子の輝き、帽子の赤いフェルト、衣の縁を飾るふさふさとした毛皮。描かれた人物が誰なのかは、ついに確かめられなかった。いくつかの名が挙げられたが、どれも定まっていない。作品は現在、ニューヨークのフリック・コレクションにある。




