
Rembrandt · PD
男の肖像
作品情報
ストーリー
この男が誰なのかは分からない。長年の調査を経ても美術館にも分からないままだ。レンブラントがアムステルダムでこれを描いたのは1650年ごろ、彼自身の暮らしが傾いていく十年のことだった。大きな家と美術コレクションに金をかけすぎ、1656年には破産を申し立て、財産が目録に記され競売にかけられていくのを見ることになる。そうした翳りは描かれた人物には表れていない。がっしりと落ち着いたこの男は、レンブラントがいまや顔と両手を残してほとんどを呑み込ませた褐色の闇から浮かび上がる。画面は今では擦れ、帽子も身体も数百年の洗浄で薄くなり、絵を支えているのは光を受けた油断のない頭部だ。




