
ある56歳の男性の肖像
作品情報
ストーリー
1591年、フランス・ポルビュスはまだ二十代の初めで、アントウェルペンで仕事をしていた。都市の商人や名門の市民を描いており、宮廷から声がかかるのは何年も先のことである。三つの銘文が事実を伝えている。上の両隅にはラテン語で、1591年という年と、モデルが56歳の年にあることが記されている。その年齢の下に、画家は「フランスの息子フランス・ポルビュス」と署名した。男自身の名はどこにも書かれなかった。赤毛は白くなって短く刈られ、ひげにはまだ赤みが残り、細かなしわと目の下の隈が目元に刻まれている。片手を腰に当てて立つ姿は、ふつう貴族のためのポーズで、手には子ヤギ革の手袋を持っている。対として描かれた妻の肖像は、いまサンフランシスコにある。二点はフランケン地方のポンマースフェルデン城にそろって掛けられていたが、1867年の売り立てで離ればなれになった。その売り立てで批評家テオフィル・トレ=ビュルガーは、この肖像を真実と表現の傑作と呼んだ。作品は個人蔵で、ナショナル・ギャラリーに貸し出されている。


