
Jean-Auguste-Dominique Ingres · PD
パンクック夫人の肖像
作品情報
ストーリー
アングルがこの肖像を描いたのは1811年のローマ、故郷を離れた若きフランス人画家として、国費の奨学生でヴィラ・メディチに滞在していた頃のことだ。彼はモデルを窮屈なほどの楕円に収め、あらゆる質感に冷静で正確な視線を注ぐ。黒いレース、金の腕輪、ショールの光沢、そして琺瑯のように滑らかで静かな顔立ち。描かれたのはセシル・パンクック、旧姓ボシェ、パリの名高い出版一家に嫁いだ女性である。この絵には、1811年当時は誰も知りようのなかった静かな家族の糸が通っている。数十年後、アングルは二番目の妻としてデルフィーヌ・ラメルを迎える。ほかならぬこのボシェ家の若い縁者であり、こうして画家は、ここに描いた人々と生涯にわたって結び付くことになった。




