
Anton Chladek · PD
ルーマニアの詩人アレク・ヴァカレスクの肖像
作品情報
ストーリー
アントン・フラデクは、ボヘミア出身で、1830年代にブカレストへ移り住んだ肖像画家である。名家の人々やその祖先の姿を注文に応じて描き、子弟に絵の手ほどきもした。若き日のニコラエ・グリゴレスクが最初に絵を学んだ相手も、このフラデクだったと伝えられる。ここに描かれた詩人アレク・ヴァカレスクは、ルーマニア語の詩の礎を築いた一族の一人だが、すでに1799年に世を去っていた。つまりこの肖像は、モデルを前にして描いたものではなく、半世紀ほど前に亡くなった人物の面影を、残された図像や言い伝えをもとに1850年ごろによみがえらせたものである。ビーダーマイアー様式の落ち着いた筆致が、過ぎ去った時代の詩人に静かな存在感を与えている。

