
Jacopo Tintoretto · PD
聖ゲオルギウスと竜
作品情報
ストーリー
多くの画家は聖ゲオルギウスを画面のど真ん中に置く。槍も竜もそろえて。ところがティントレットは、彼と怪物を中景へ押しやり、代わりに救われる王女を前面に投げ出した。彼女は絵から飛び出すように、まっすぐこちらへ駆けてくる。赤いマントがなびき、片手は極端に短縮法で描かれ、画面の表面を突き破りそうだ。上空では雲を裂いて光が差し込み、そこで神が聞き届けた祈りを受けとめている。ティントレットがこれを描いたのは1555年ごろのヴェネツィアで、宗教改革に押された教会が、奇跡を装った伝説を警戒しはじめた時期だった。彼はそれに答えるように、神の応答そのものを主題に据えている。前景には青白い死体が横たわる。竜の前の犠牲者で、半ば影に沈んでいる。




