
Attributed to Titian · PD
笛を持つ羊飼い
作品情報
ストーリー
1510年ごろ、ヴェネツィアは物語を語らない新しい種類の絵を生み出しつつあった。若い羊飼いと一本の笛、そしてひとつの気分だけの絵である。これはそのひとつだ。イングランド王チャールズ1世がこれを買ったとき、自分はジョルジョーネの作を手にしていると信じて疑わなかった。ジョルジョーネはその十年のうちに疫病で早世し、署名の残る作をほとんど残さなかった画家である。長らく人々はそれで一致していた。いまでは多くの研究者が、むしろジョルジョーネの協力者だった若きティツィアーノに帰している。なお少数はジョルジョーネ説を守り、失われた彼の原作の写しではないかとする見方さえある。いずれにせよ残るのは、あのヴェネツィア的な発明である。とりたてて何をするでもない少年が、それでも描くに値したということだ。彼は横へ目をやり、旋律の途中で、指はなお笛の穴に置かれている。




