
Gustave Doré · PD
夏
作品情報
ストーリー
1873年1月、ボストン美術館には定款と理事会はあっても、建物はまだありませんでした。創立は三年前で、コプリー・スクエアの最初の館が開くのは1876年のことです。高さ二メートル半を超えるこの大作は、美術館が受けたごく初期の寄贈品のひとつです。ボストンの画商が1867年から「野の花、真夏」という題で市内に展示していたもので、ボストン市民のリチャード・ベイカーが買い取り、生まれたばかりの美術館に贈りました。のちに未亡人は、創立時の理事のひとりヘンリー・キダーの勧めで購入したのだと語っています。ダンテや聖書の挿絵で知られるドレは、1860年代に風景画を数多く描きましたが、これに似たものはありません。手入れされずに荒れた地面の一角を、虫の目の高さからとらえた絵です。タチアオイ、アサガオ、タンポポ、ヒナギク、アザミがひしめき合って伸び、チョウやトンボが蜜を吸っています。手前には置き去りの大鎌が錆びつき、雑草の向こうでは廃墟が崩れかけています。




