
Paul Cézanne · PD
レスタックから見たマルセイユ湾
作品情報
ストーリー
1880年代、セザンヌが繰り返し通ったマルセイユ西郊の小さな港レスタックは、もはや単なる漁村ではなくなっていた。海岸沿いには瓦や煉瓦の工場が広がり、手前に重なる屋根のあいだには工場の煙突も見分けられる。それより前、セザンヌは友人ピサロへの手紙で、ここからの眺めはトランプの一枚のようだと書いている。青い海を背にした赤い屋根、南の強い日差しのもとで物の輪郭が平たいシルエットになる、と。この画布にもその感覚が残っている。彼は町と湾、遠い丘、そして空を幅広い帯へと積み重ね、印象派が追いかけた光のきらめきではなく、確かな形を求めている。海は、接する陸地と同じ密度で塗り込まれている。




