
Francisco Goya · PD
犬
作品情報
ストーリー
1819年ごろ、70代なかばのフランシスコ・ゴヤは、マドリード郊外に買った家の壁に、誰に頼まれたわけでもない一連の絵を直接描きつけていった。重い病で聴力を失い、人づきあいを避けて暮らしていた時期である。その家は「聾者の館」と呼ばれた。のちに『黒い絵』と総称されるこれらは暗く不穏な主題ばかりで、この一枚もそうだ。画面のほとんどは、何もない茶色い斜面と空とに占められている。その下のほうから、一匹の犬が首だけをのぞかせ、上方の空虚を見上げている。犬が何を見ているのかは描かれていない。のちに壁から画布へ移し替えられ、今はプラド美術館の一室に、ほかの黒い絵とともに掛かっている。





